2018.08.24
クリニック奮闘記
Vol.207 クリニックに再就職した場合にすべきことは?
一般の事業所(会社)と違って、クリニックの事務処理能力は極めて低く、顧問契約をしている会計事務所や社会保険労務士事務所に、その殆どを依存しています。本稿では、Aクリニックに就職したスタッフの入職手続きの様子を追いかけてみたいと思います。
Aクリニックに採用がきまったBさんは、院長から入職に伴う手続き書類の一式を受け取りました。
A院長「ウチの会計事務所と社労士事務所から入職書類を預かったので、記入して提出して下さい。わからないことがあったら何でも聞いてください。」
Bさん「わかりました。明日には提出しますので宜しくお願いします。
この時Bさんに渡された書類の一覧は次の通りです。
・雇用契約書
・誓約書(誠実に業務を行う旨を宣誓したもの)
・身元保証書(一般的には同居の親族等で可)
・交通経路及び通勤手当支給申請
・扶養控除等異動申告書(主たる勤務先がAクリニックの場合に提出:掛け持ち勤務の場合は要検討)
・給与振込口座申請書
上記の書類に加えて、提出時にはマイナンバーのコピーも添えます。看護師等の有資格者は免許書のコピーも必要でしょう。
Bさんは直ぐに書類を作成しA院長に提出しました。その後、会計事務所の担当者から、前職分の源泉徴収票の提出を求められました。早速、先月退職したクリニックの院長に事情を説明し、源泉徴収票の発行を依頼しました。ところが・・・・。
前クリニック院長「源泉徴収票は毎年1月に発行することになっているから、今、発行することはできない。」
困ったBさんはA院長に事情を伝え、会計事務所の担当者と相談することにしました。職員が退職した際、速やかに(概ね2週間)源泉徴収票と離職票(雇用保険加入者の場合)の発行をしなければならないと決められています。事例にある前のクリニックでは、どうなっているのでしょうか?以前は退職者に対してきちんと源泉徴収票は発行していたのですが、再就職した際に紛失しているケースが頻発していたのです。その度に再発行をしていたのですが、その手間を嫌がってのことの様です。Aクリニックの年末調整までは数か月ありますので、「今は急ぎませんが、発行お願いします。」と再度のお願いをし、先方にも了承してもらえました。
(まとめ)
本稿の事例では、直ぐに対応してもらえましたが、必ずしもこんな場合だけではありません。対応策としては、毎月の給料明細で年末調整を行い、1月に源泉徴収票が届いた段階で金額の確認をする。あるいは、一旦、Aクリニックで年末調整を行い、その後2か所給与として確定申告を行うかの選択になります。簡単なことなのですが、事務手続きの流れを分かっていないとトラブルにもなりかねません。詳しくは、税理士、もしくは社会保険労務士にもご相談ください。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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