Vol.208　とどめを刺す！仕事の仕方を考えましょう

新人の頃は初めての仕事が多いこともあり、臆病な位に何回も確認した経験がある方も少なくないはず。あまりに神経質になる必要もないのですが、基本的に仕事は確認の連続で成り立っています。ところが慣れが生じてくると、「多分、大丈夫だろう」という失敗しないことを前提に思考省略することがあります。仕事におけるトラブルの要因としてヒューマンエラーがありますが、その原因は、この「思考省略」によるものです。「だろう」「多分、きっと・・・・」は仕事には禁物です。本稿では、あるクリニックで起こったスタッフの失敗談から、仕事の仕方について考えてみたいと思います。

 

Aクリニックの事務スタッフBは、勤続15年の超ベテランです。仕事は自他共に認められるレベルで、院長も任せて安心できるスタッフの一人になっています。とろこが、そんなBさんにも仕事の仕方にはどくどくの"癖"があります。仕事の結果を相手に委ねてしまって、最後まで見届けないときがあるのです。全ての段取りを自分で行って、他の人に細かく指示を出し任せるのは悪いことではありません。仕事の全体感が解っているBさんだからこそ出来るのですが、任されたスタッフにとって、問題なく処理できる仕事のできるレベルであれば、「やっといてね！」で済むかもしれません。仕事を依頼されたスタッフにとって、初めての仕事であって、イレギュラーな場合や、判断しなければならない場面が生じると、そうはいきません。先輩スタッフが適宜、アドバイスをしていった方がトラブルになりにくいのは言うまでもありません。

Bさんは、Cさんに仕事の依頼をしたのですが、本人にとっては、少し難しい内容であった様です。診療報酬改定に伴い、厚生局に施設基準を提出する様に指示されたのですが、Cさんにとっては「施設基準」そのものがわかっていませんでした。言われたままホームページから書類をダウンロードし書類の作成にかかったのですが、記入要綱があるからとはいえ、要領を得ません。電話で聞き取りながら、何とか書類が完成し提出しました。ここで、提出前にBさんが書類チェックをしていればよかったのですが、後日、内容について厚生局から問い合わせの電話が入ります。幸い、記入漏れの指摘だけだったので問題はなかったのですが、仕事の進め方に対する問題は放っておけません。問題点の整理と善後策を考えてみましょう。

 

（まとめ）

・仕事を依頼したBさんは、Cさんが初めての仕事であることを確認する必要があった。

・Cさんの理解力に合わせて業務を噛み砕いて説明することの必要性

・書類が作成できた段階で、検閲を受ける様に指示すること

・外部へ書類を提出する場合は必ず複数の目で確認し、提出日や提出先、文書の種類がトレースできる様に管理しておくこと

多分、〇〇だろう、と思考省略するとき、上手くいくことを想定していますが、そうでないこともあります。たまたまラッキーであるだけなのです。仕事の終わりは完成形を見届けるところまでと心得ておきましょう。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント　　柳　　尚信

 

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