Vol.162　コンサルタントさん！　何ができるの？　～　経営改善編　～ |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2018.06.19

Vol.162　コンサルタントさん！　何ができるの？　～　経営改善編　～

本稿では「経営改善」におけるコンサルタントの活用についてお話ししていきます。

◆経営不振に悩んでいるB先生◆

開業前には診療調査に基づいて物件選定をしたにも関わらず、思う様に患者数が伸びずに悩んでいる先生の場合、収益改善のための施策を打たなければなりません。こうなると対応できる業者は少なく、一般的には専門コンサルタントに頼ることになります。対応する経営テーマにもよりますが、医療コンサルタント

が得意とする分野です。

・医療コンサルタント

→マーケティング（市場調査）から戦略ポイントの立案を行います。営業的な(攻め)の戦略と、人事面などのソフトサービスの充実（守り）の両面から戦略プランの立案、問題解決を行います。

・税理士

→資金面でのアドヴァイスを中心に行います。事業計画書の作成と実績管理から、その差異分析を行い、改善を促していきます。営業的な戦略立案はできませんが、クリニックの全体感を俯瞰しながらの提案を行います。

・社会保険労務士

→スタッフサービス（人事労務）を中心にしたコンサルティングを行います。スタッフ教育や人事制度（給与制度、評価制度）の構築を通じて、組織改善コンサルティングを得意としています。提供業務の内容が人事面に限定されるため、ニーズがはっきりしている場合は成果が期待できると思われます。

◆スタッフの教育や労務管理が苦手なC先生◆

社会保険労務士をはじめ、医療コンサルタントが対応可能な領域。専門資格を要する業務ではありませんが、組織改善は事業全体へのインパクトが大きいため、導入には慎重は判断が必要です。コンサルタントの能力だけでなく、院長（経営者）や現場スタッフとの相性も重要になります。人の内面と組織風土改善に関する業務であるため、導入効果の測定には時間がかかります。

◆事業拡大を検討しているD先生◆

事業戦略の立案と資金計画が中心になるため、医療コンサルタントと税理士が得意とする分野です。拡大戦略についての選択肢の提案と、事業計画の立案を行います。資金調達、人設備投資計画、人的投資計画など細部に渡って煮詰めていく作業が必要になります。病院の様に実務を行うスタッフがいない場合は、医療コンサルタントとパートナーを組みながら進めるのがベターであると思います。将来を左右する業務になりますので、医療コンサルタントと税理士の混成チームにより計画遂行していくことをお薦めします。

◆事業承継を検討しているE先生◆

後継者がいない場合は、閉院と売却の２つの選択肢があります。閉院の場合、事務的な手続きで完了するするため、コンサルティングのノウハウが必要になることはありません。

・個人診療所の場合

「診療所の廃止届」を所管官庁に提出して終了。コンサルティングという観点では届出処理を業者に委託する必要はありません。

・医療法人の場合法人の清算処理と解散登記が必要になります。税理士、司法書士に依頼することで事務処理は完了します。

M&Aもしくはご子息に事業承継する場合は、実務処理をするコンサルタントが必要となります。事業承継の実務としては、税務処理、契約書の作成、及び関係者の利害調整が必要です。後継者がいない場合は、継承希望のドクターを探さなければなりません。また売主、買主の利害調整が難しい場合は弁護士による仲裁も必要です。結論としては、行政手続きを中心に、全体の工程管理が行える専門の医療コンサルタントが窓口となって混成チームで行うのがベターではないでしょうか。

（まとめ）

医療機関（病院、クリニック）の経営サポートを行う業者は玉石混淆です。弁護士、税理士などの士業は国家資格に基づいた独占業務として確立されていますが、医療コンサルタントには何の資格も必要ありません。コンサルタントを名乗る業者は数多ありますが、それぞれの特性を理解して利用しなければ、期待した成果を得ることができません。コンサルタントが行う「経営指南」という業務は、現場にも深く介入していくことがあるため、導入前よりも悪くなるリスクもあるのです。先輩や友人から紹介だから安心！そんなことはないのです。相手の能力や実績などを勘案し、業務内容についても十分納得ができるまで、話し合ってから導入するか否かを決めて下さい。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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