Vol.161　コンサルタントさん！　何ができるの？　～　新規開業編　～ |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2018.06.19

Vol.161　コンサルタントさん！　何ができるの？　～　新規開業編　～

医療機関（病院、クリニック）には様々な業者が関与しています。その中で、本稿では経営の指南役としてコンサルタントの業務についてお話しさせて頂きたいと思います。「ウチへ税理士がいるから大丈夫！」「事務長がしっかりしているからね」とおっしゃる経営者の先生方もいらっしゃいます。また、「友人がコンサルタントに騙された！」なんてこともよくお聞きします。では、そんなコンサルタントに何ができるのかを解説していきたいと思います。

全２回の構成で、本稿では「新規開業」における業者選定の基準についてお話しましょう。

◆新規開業を検討しているA先生◆

A先生「開業場所の選定や物件紹介だけでなく、銀行交渉なんかもお願いできるだろうか？」

新規開業を準備するにあたって重要なことは、開業スケジュールを予定通りに進める「工程管理」と、「予算（資金調達と予算配分）管理」の２つです。決められた予算の範囲内で、決められたスケジュールをこなしていくことは、簡単な様で細部を熟知していなければできない業務です。この分野でコンサルタントとして業務を行っている業者と、それぞれの特長をあげてみましょう。

・建築不動産業者

→不動産情報の提供から内装工事までを得意としています。医療機器に関しては知識が乏しいため、電気工事（LAN工事等）に不安が残ります。資金面については、本業（不動産業）で取引のある金融機関の紹介は受けられますが、事業計画書の作成から融資交渉まで行うことはありません。基本的に不動産に関する業務以外は行わないと考えておかなければなりません。（コンサルフィーは無料であることが多い）

・医療機器メーカーやディーラー

→医療機器の販売を目的としているため、無料で開業準備を行っている。他業種からの転職組が多いため、担当者が個々に得意分野を持って対応しています。医療機器についての知識はありますが、事業計画の作成には弱さがあるため資金調達には不安があり、安易にリース契約を勧めてくる担当者には注意が必要です。医療機器周辺業務は得意ですが、細かな業務調整等ができないこともあります。（コンサルフィーは無料）

・薬品卸業者

→通常のルート営業を行っている担当者と別に、新規開業部隊が対応しています。基本的には自社でコンサルテーションすることはなく、全ての業者の取次業務を行い、紹介手数料を得る業務スタイルである。取引金額の額に応じて紹介手数料が発生するため、事業予算が通常よりも大きくなると考えなければなりません。ドクターのニーズを最大限に汲み取る配慮はされていますが、相談相手としては不足が生じることがあります。（コンサルフィーは無料）

・税理士等の士業

→開業後に顧問契約をすることを前提に開業支援を行っている。税務会計の強みを生かし、事業計画書の作成から銀行交渉を最も得意としています。資金調達と予算管理、開業後の経営に不安を感じている先生の場合は、一番の相談相手となり得る。人事労務までの対応は可能ですが、不動産建築工事及び医療機器についての知識は乏しく、全体の工程管理はできません。（コンサルフィーは無料）

（まとめ）

新規開業は一生のうちで一回限りです。成功しても失敗しても比較対象がないため、その結果の評価が行いにくい内容です。それ故に、質の悪い業者も跋扈している業界なのです。ここでは真面目な業者のお話しに留めていますが、それぞれの得手不得手を理解して利用しなければ、期待値以上の成果を得ることができません。個々のサービスの充実も重要ですが、全体を俯瞰した仕事ができる業者（プロデユ―サー）の質が要求される業務でもあります。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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