2018.06.12
クリニック奮闘記
Vol.156 情報収集はそこそこに
開業準備を始めようとして、先生方は何から手を付けていきますか?業者が主催する勉強会(セミナー)へ参加する。書籍から必要な情報を勉強収集する。知り合いドクターの話を参考にする等、色々な方法が考えられます。クリニックを開業するということは起業することです。起業するために必要な情報や知識は、多岐に渡りますので全てを理解しようとするには時間がかかりすぎます。結論的には人に任せることを考えていかなければなりません。では、情報集から効率よく開業準備をしていくには、どうしたらよいでしょうか?本稿では、あるドクターを反面教師として、その失敗事例から学んでいきたいと思います。
A先生は開業準備のために各種セミナーをよく利用しています。というよりも業者の中では有名になる位、企業が主催するセミナーには頻繁に参加しています。巷で行われている開業セミナーの場合、内容的には似通っているため複数参加する意味はあまりないのですが、勉強することに意義を感じておられる様です。ちなみにこれまで参加したセミナーで学んだことは、次のとおりです。
・診療圏調査・事業計画の立て方・クリニックの労務問題・クリニックの内装の考え方
勉強するテーマとしては十分なのですが、同じテーマでも違うセミナーで新しい知識を得ようと参加を繰り返しています。この状態がすでに2年続いていますが、肝心の開業準備の実務としては何一つとして進んでいません。情報収集、勉強することは大事なことですが、目的はクリニックの開業にあることを忘れはいけません。起業するために必要な知識は、マーケティング、金融、建築、労務、法務など多岐に渡ります。先生が時間をかけて一つ一つ習熟していくことは可能ですが、そこに時間を費やすのは全ての面において効率が悪すぎます。一人で全てを行おうとするのではなく、人を使って最小最短のコストで目的を達成するのがビジネスです。クリニックをスタートさせてからビジネスが始まるのではありません。準備段階から勝負は始まっています。開業に必要な知識を全て習得しようと思えば、基本的な内容だけでも100時間は下らないでしょう。更に物件探しから開業に至るまでには最低でも6ケ月は必要です。(3時間/日×20日×6ケ月=360時間)情報取集から開業するまでに約500時間を投下することになります。この時間にドクターの時給を当てはめると、時給1万円としても500万円のコストになります。先生方が費やすべき時間の中味は、患者を増やすために如何に診療体制を構築していくかにあります。自らの時間を準備に費やすのはなく、開業後の増患のために費やしてください。最大のパフォーマンスを発揮するための時間の使い方(タイムマネジメントの実践)こそが、先生方にとって一番大事な勉強であるといえます。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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