Vol.234 クリニックの値段『収益力編』 

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2018.10.15

Vol.234 クリニックの値段『収益力編』 

クリニックの値段『診療行為編』https://medical-takt.com/backnumber/2018/report478.html に引き続き、"収益力"に着眼してクリニックの値段を考えてみましょう。クリニックの事業承継(M&A)で取引金額を決めていく際、基本的には売主の譲渡希望金額をお聞きすることから始まります。しかし何の根拠もない希望金額では買主は納得するはずがありませんので、査定に対しては合理的で納得性のある根拠が必要になってきます。"診療行為"に着眼したお話しに引き続き、本稿では"収益力(利益)"に着眼したお話しをご紹介したいと思います。

 

早速、評価の方法を検証していきましょう。最初に、クリニックの譲渡金額を査定する場合は以下の金額をベースに検討していきます。

(個人診療所の場合)年間の事業利益

(医療法人の場合)医療法人の利益+役員報酬の総額+家賃等

※診療所土地建物が理事の所有で、賃貸料を支払っている場合やグループ会社との取引がある場合は、全ての内部取引はなかったものとして利益に加算します。

 

こうして事業から生じる付加価値を金額で認識することからスタートします。(医療法人では理事報酬を法人利益に加算しますので、個人診療所の利益と同じになります。)

(例)個人診療所の利益2000万円

   医療法人の利益200万円、理事報酬の合計1800万円

 → 200万円+1800万円=2000万円

この基準で考えた場合、両者の価値は同等ということが言えます。

 

次に収入金額が異なる2つのクリニックをみてみましょう。(利益の計算については上記の考え方に基づいて計算します)

(a)医業収入5000万円-事業経費3000万円=利益2000万円

(b)医業収入3000万円-事業経費1000万円=利益2000万円

 

ここで問題にしたいのは、各クリニックにおける設備投資状況です。

例えば(a)の場合、医療機器の買い替え直後だとすると次の投資までは、設備投資の必要がなく内部留保が蓄積されていきます。(b)の場合で医療機器の償却が済んでおり、直ぐにも購入する必要があるとなれば、クリニックの内部留保は流出していくことになります。現状の収益力が同じであっても設備投資のタイミングを考慮すると、数年後の内部留保に差が生じることとなります。従って、譲渡金額を査定する上で、両者が同じ評価であるはずがないのです。

 

(まとめ)

以上の様に、売却金額の査定には様々な根拠付けをしていきます。最終的には売主と買主の意思が反映させて調整していくことになるのですが、ベースの金額は誰に対しても説明できる金額でなくてはなりません。

 

 メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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