【クリニック奮闘記】Vol.177　承継（継承）クリニックを探し続けて・・・・

クリニックの開業を検討する先生方にとって、物件の選定は最初のハードルではないでしょうか。主要な駅や人口密集地には多くの先輩医師が開業しており、その隙間を探して歩かなければならないからです。100％の物件はありませんので、何かしらの妥協点を見出して場所を決めていくことになるのですが、運よく事業承継を希望するクリニックに出会うこともあります。本稿では、開業物件として、事業承継（M&A）を希望しているクリニックを求めて情報収集しているドクターのお話しを取り上げていきます。果たして上手くいくのでしょうか。

 

内科医のA先生は開業を考えるにあたり、経営リスクが少ないと考えられる事業承継（M&A）物件を第一優先に検討しています。ネット広告や、製薬メーカーの担当者にお願いして情報収集すること早1年。未だにこれといった情報は集まってきません。

 

A先生「事業承継の情報は、どうやって集めたらいいのだろう。継承物件で開業した人の話はよく聞くのに、全く情報が入ってこないな。」

MR　 「薬品卸の開業チームや会計事務所にも声を掛けていますが、反応が薄いですね。」

A先生「友人の開業をサポートした医療コンサルタントに相談してみることにするよ。」

 

こうして医療コンサルタントに相談したA先生は、自分に情報が集まってこない理由を漸く知ることができたのです。

 

コンサル「クリニックを閉院するという情報は、水面下で取り扱われる情報ですから、滅多なことでは表に出ることはありません。」

A先生　「承継物件で開業した人の話をよく聞くのですが、その先生方はどうしているのですか？」

コンサル「情報を取り扱っている業者と接触することです。一定の契約の上で継承情報の開示を受けことができる様になります。」

A先生「どんな会社があるのでしょうか？早速、依頼したいのですが・・・・。」

 

クリニックの事業承継（M&A）の情報を扱っている会社には、こんなところがあります。

・M&A専門業者

・会計事務所

・医療コンサルタント

 

これらの会社と委任契約を結ぶところからスタートします。デリケートな情報ですから、関係者以外に情報が漏洩することを防がなければならないからです。その上で契約者の要望に沿った売却情報が開示されることになりますが、購入希望者のドクターが満足する情報が得られる可能性は、実はそれ程、高くはないのです。売却を希望する医療機関側には様々な条件が付いていますが、開業を希望するドクターにも同様のことが言えます。それらが合致した時に初めて契約が成立することになるのですが、その難しさは推して知るべしです。

 

・限定された開業エリア内に、希望の条件の継承案件が発生する確率が低いこと

・売手と買手の双方の契約時期（事業譲渡の時期）を合わせるのが難しいこと

 

（まとめ）

継承案件（M&A）は、まず情報収集の段階から非常に困難な案件です。専門業者といえども、それ程、情報がないのが普通なのです。さらに条件に合った案件となると、実は雲をつかむようなレベルの情報であると考えて下さい。開業を考える場合、まずは開業までのスケジュール表を作成します。まずはオーソドックスにテナント物件から探していくべきであり、その中で継承案件の情報が出てくれば検討してみるという考え方が必要です。いつ出てくるともわからない情報を待っているほど、時間を無駄に過ごすことはありません。開業までの時間軸をしっかりと持って取り組んでいきましょう。

 

 メディカルタクト 代表コンサルタント　　柳　　尚信

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