Vol.255 事業承継(M&A)は時間との闘い!

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2018.11.14

Vol.255 事業承継(M&A)は時間との闘い!

事業承継(M&A)は個別対応案件であるがゆえに、画一的な取引ができず、手間暇をかけなければなりません。対象となる医療機関(病院、クリニック)のデーターを収集分析し、第三者に譲渡する際のリスク分析を行う必要があります。一定の工程(時間)を掛けないと市場に流通させることができないのです。売り手にはタイムリミットがあることが多いため、そういう意味において時間との闘いであると言えます。

弊社では医療機関の事業承継(M&A)を、これまでに50件取り扱ってまいりました。

その中で、売手と買手の双方に共通の見識があることに気が付きました。簡単に言いますと、取引相手が直ぐに見つかるのではないかという、非常に楽観的な見方があります。買手のドクターの中には、新規開業で一からスタートするリスクを嫌い、継承開業を希望している場合が多いのですが、"希望するエリア"で、"タイミングよく"情報が入る保証は全くありません。私が開業を希望する先生方にいつもお話しすることは、通常の開業スケジュールに合わせて、開業物件を探すことを第一に考えて欲しいということです。その過程において、継承物件情報が入手でき、且つ、検討可能である場合にのみ前向きに話を進めることができるのです。殆ど市場で流通することのない"継承物件"をアテにして何年も時間を潰すことには意味はありません。

一方で売手のドクターはどうでしょうか?こちらは直ぐに相手が見つかるのではないか?と考えている先生が多く、直前にならないと情報が入ってきません。譲渡するまでに与えられた時間は半年程度というのが一般的です。体調上の理由により、直ぐに探して欲しいという場合もあるため、案件としては緊急性の高いものとなっています。そうなると、勤務先の

人事の影響を受けないフリーのドクターが対象ということになります。運よく見つかればよいのですが、確率はかなり低いと言わざるをえません。医局人事で縛られているドクターであれば、退職可能な時期も限定されてしまします。開業を検討している多くのドクターに検討してもらうためには1年以上の準備期間を設けるのが理想です。

 

最近の事例をご紹介させて頂きますと、買手候補のドクターがのんびりと構え過ぎていた為、一番肝心の"患者引継ぎ"のプロセスを端折らなければならなくなったことがあります。基本合意書を締結する前に金融機関から資金調達の目途をたてなければならないのですが、審査には1ケ月かかると見ておかなければなりません。引渡の最終リミットは6ケ月後と決まっています。患者の引継ぎのために非常勤で勤務する時間を、可能な限りここに充てなければ、継承するメリットが損なわれてしまいます。事業承継の場合、金融機関は営業権に対する評価は厳しいものがあります。引継ぎ可能な収入がどれ程なのかを試算し、銀行に説明しなければならないのです。その打合せに要する時間も確保しなければなりません。改修工事の必要性も考えられます。資金調達は何とか間に合いましたが、改修工事が間に合いません。仕方なく2期に分けて継承スケジュールに干渉させない様にしました。予定では3ケ月を""患者引継ぎ期間と考えていたのですが、実際には一月しか設定できませんでした。しかも1週間に3コマの勤務です。幸い、売手のドクターの尽力で、引渡後も患者引継ぎに協力してもらえたため、患者の歩留まりは想定内であったことを付け加えさせて頂きます。

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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