Vol.216 スタッフの居残り残業のリスク

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2018.09.10

Vol.216 スタッフの居残り残業のリスク

通常の勤務時間内に業務が終了せず、居残り残業する光景は何処の事業所にもあることです。人手が足りておらず、担当の業務量がこなしきれない場合、常態的に残業する雰囲気になっており、帰りにくい雰囲気になっている場合、やり終えないと気が済まないため残業する場合など、残業する理由はいくつも考えられます。職務に誠実に対応することはいいことなのですが、そこには様々な問題が内在しています。本稿では、何気ない日常に内在している表面化しにくい問題点、"残業"にフォーカスしてみたいと思います。

 

Aクリニックに勤務するスタッフは皆さん勤勉で、指示しなくても自発的に動くため、業務処理の上では、一点を除いて院長のストレスは殆どありません。そして、その"一点"とは?

"スタッフの居残り残業"です。当初は事務スタッフのレセプト処理時の残業だけだったのですが、月初以外でも、様々な理由により残業をし始めます。やがて、その雰囲気が看護師にも伝染し、今ではスタッフの約半数が常態的に残業しています。

 

A院長「皆さん、仕事熱心なのはいいんだけど、もう少し早く帰れないかな?月初のレセプト時期だけでなく、ほぼ毎日、残業しているようだけど。」

スタッフ「明日の準備やら、カルテの事前確認をしていると終わらないんです。」

A院長「いつもすまいねぇ。でも、急ぎの仕事でないときは、できるだけ早く帰るようにして下さいね。」

 

こう言いつつA院長はスタッフの忙しさの中味を検証し、改善策を模索することにしました。事務部門と看護師部門の業務フローを考えて、スタッフが居残って行っている業務を一つずつ検証していきます。明日の準備で作業的なものについては当日行うこと。事前カルテの作成は、後になって院長が修正することもあるため業務としては割愛する。事務部門については、当日のレジ集計の終了後の残業は認めないこととしました。これはレセプト期間についても同様としました。当初はスタッフの反対もあり、ギクシャクした雰囲気がありましたが、やがて沈静化し、残業時間は大幅に削減されました。

(まとめ)

Aクリニックのスタッフは残業代が欲しくて、居残っていた訳ではないのです。定時になれば一旦、タイムカードを打刻し残業していました。この生真面目さが原因の残業を改善するのは、残業手当目当ての居残りよりも難しいのです。A院長は単に残業を禁止したのではなく、スタッフを納得させる理由を考えました。最初は全体ミーティングで、そして個別面談でも話していきました。現場が変化するには相当の時間が必要でしたが、院長は焦らず地道に話し続けていったのです。特に院長が強調したのは次の点です。

 

・女性スタッフだけでの残業は、セキュリティ上問題がある

・一人で残業している場合、防犯上の観点だけでなく、体調上の理由で倒れた場合、対処ができない

・金品の盗難(持ち出し)の可能性が生じる。

 

その中で、院長が一番気にしていたのは、残業中に倒れこと、泥棒が侵入してスタッフが怪我をすることでした。特に女性しかいないクリニックは狙われやすいので、残業中だけでなく、始業時、終業時も単独行動にならない様にした方がよいでしょう。

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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