Vol.217　開業日の前日、準備は万端？ |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2018.09.11

Vol.217　開業日の前日、準備は万端？

弊社では、クリニックの新規開業のご支援に数多く関わらせて頂きましたが、いつも勉強させていただく事ばかりです。根幹となる業務は"資金管理"と"工程管理"の2つに大別されます。本稿では"工程管理"にフォーカスしていきたいと思います。仕事は段取り八分といういう様に、直前になってバタバタしない様に、事前準備は大切です。こういう風に人には言えますが、仕事というのは上手くいかない事の方が多いものです。準備万端で開業に望むことができれば完璧ですが、スケジュール通りにいかない事が多いのも事実です。実際にあったエピソードを交えて、開業前のクリニックをみて見たいと思います。

A先生は1年前から開業準備を始めてましたが、いよいよ開業を来月に控えています。もともとキッチリとした性格のA先生は、コンサルタントに丸投げすることもなく、スケジュールは自分で決めていきます。そればかりか、業者のコントロールも見事で予定通りの工程で進められてきました。ところが、消防検査でスプリンクラーの不備を指摘されたところから予定が狂ってきました。素人であるA先生には防災知識はなく、内装業者に任せるしかありませんでした。事前確認するのが通例なのですが、それを行わず、思考省略して進められていました。反論する余地はなく、直ぐに改修工事に入りました。これが予想以上に時間がかかったため、スタッフのオープニング研修のスケジュールに影響してきたのです。予定を詰め込んで、研修プログラムを熟していこうとしましたが、時間には限界がありますし、スタッフも息切れしてきました。A先生は気持ちが焦るばかりでしたが、内容が伴ってきません。

ここで、初めてコンサルタントに意見を求めてきました。

A先生「このままでは開業できないよ。開業日を一週間、遅らせようと思うのだけど。」

コンサル「対外的にはオープンの告知広告を済ませています。心配には及びませんよ。期日には問題なく開業できますよ。」

コンサルタントが提案したのは、開業準備は最低限のことに絞って、あとは開業後に回そうということでした。A先生は性格上、全てを予定通りにしないと気が済まないのですが、スケジュール熟すことは開業の必須条件ではありません。開業後でもいいことは、無理に詰め込む必要はないのです。幸い、Aクリニックは内装工事も終わっており、物品も一部を除いて納品が完了しています。最低限必要な注射や診療材料は確認済です。受付スタッフの電子カルテ操作も完璧ではありませんが、開業当日を含めて数日は立ち会ってもらえますので、こちらも問題ありません。出来ていないのは、一部の消耗材料等の発注作業と納品、片付けだけなのです。この程度のことは、開業後の空き時間にゆっくり行えばいいので、急いでしなくてもいいのです。

（まとめ）

完璧を目指さなくてもいいのです。電子カルテが機能して、診察ができて処置、検査ができれば、クリニックは機能しているのです。開業準備で忙殺されている先生方に言いたいことは、たまには立ち止まって、"俯瞰"してみて下さい！思っている以上には最悪の状態ではないと思いますよ。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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