Vol.192　クリニック用のテナントを考えてみよう |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2018.08.01

Vol.192　クリニック用のテナントを考えてみよう

クリニックの開業物件を探す際に重要視する点として、集患に有利な立地であること。建物が医療用として利用可能であること。（給排水設備、電気容量等）そして賃料と面積を検討していきます。本稿では、クリニック用にテナントを賃貸する場合に考えなければならないことについて言及したいと思います。

最初に賃料について考えてみましょう。先生方のご希望として、『いい物件』を『安く借りたい』というのが本音のところだと思いますが、この条件に適う物件はどれ程あるでしょうか？医療に関わらず商売用の物件として考えた場合、集客力（集患力）のある物件でなければなりません。そうすると相場家賃と比べて安く借りることは難しいということになります。貸手の事情が許せば安く借りることができるかもしれませんが、期待薄と考えるべきでしょう。相場賃料もしくは若干高めで、眼付の良い立地のテナントを選ぶのか、多少、立地が悪くても安い物件を選ぶのかは思案するところでしょう。捕捉すると、後者の場合、看板等の設置により認知度を上げる必要が出てくるため、家賃＋看板代がランニングコストとして発生することを考えると、必ずしも安い物件ではなくなるかもしれません。

次に面積について考えてみましょう。

賃料を抑えたいこともあり、賃貸面積は最小限にしたいという考え方があります。開業当初はランニングコストを抑えたいので、そう考えるのは健全なことなのですが、殆どのクリニックでは、開業後5年も経過すると手狭に感じる様になります。最近は借手市場でもあることから、賃料も比較的安く借りられる様になり、従来と比べると広めのテナントを希望される先生が増えてきた様に感じます。以下は診療科目別にみた必要面積の一覧ですが、下限は必要最低面積、上限は一人のドクターが効率的に利用できる広さを基準としています。

内科（30坪～50坪）整形外科（50坪～70坪）耳鼻科（30坪～50坪）

眼科（４０坪～70坪）皮膚科、形成外科（25坪～50坪）小児科（40坪～60坪）

婦人科（30坪～50坪）

（まとめ）

開業時には、家賃負担を少しでも軽減したいと考えるものです。確かに収入が立ち上がるまでの1年から1年半までの間、負担感はあるかもしれません。ところが軌道に乗ったクリニックでは家賃負担は、収入比１０％程度で落ち着きます。薬品代、診療材料仕入、人件費、リース料や借入返済と比較しても重要度が低いことが分ります。綿密な事業計画書が作成されていることが前提ではありますが、『理想と考えているクリニック像』を思い返して下さい。そうすれば、今検討している不動産物件の適否が判断できるのではないでしょうか。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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