2018.09.13
クリニック奮闘記
Vol.219 スタッフ間の不協和音
クリニックで働くスタッフは、パートスタッフを中心に構成されています。入職するまでの間は、病院を始めとする他の医療機関だけでなく、異業種の企業で勤務してきた人も一緒になって勤務しています。新卒採用であれば、真っ新の状態からクリニックの色に染めていくことができますが、複数の事業所での勤務経験があるスタッフが殆どで、それぞれが自分のカタチを持っています。足りない部分を補い合いながら相乗効果が生まれる場合もありますが、多くのクリニックでは逆の場合の方が多い様に見受けられます。本稿では、そんなスタッフ間の"不協和音"にフォーカスしていきたいと思います。
半年前に開業したAクリニックの受付には、正職員2名とパート職員2名の4名体制で勤務しています。20代スタッフ1名、40歳前後スタッフ3名の構成ですが、経歴においては多種多様の様です。
Bさん(正職員)病院勤務中心で、レセプトを専門に行ってきている。マニュアル大好き
Cさん(正職員)企業で営業事務を担当。医療業界は初めてだが、テキパキとした仕事
Dさん(パート)クリニックで医療事務を担当。レセプト経験はほとんどない
Eさん(パート)唯一の若手。医療業界の経験は浅いが、パソコンスキルはピカイチ
院長は経験者であるBさんを中心に、人柄重視の採用を行いました。各人の仕事力は高く、未経験の仕事にも積極的に取り組んでいるスタッフを、院長は心強く思っている様ですが・・・。水面下では火花が散っている様で、色々な問題がある様です。
Bさんは、一つ一つの仕事を確実に完結させてから次の仕事にかかります。Cさんは、いわゆるマルチタスク型で、複数の業務を同時にこなしていくタイプです。そこには、口は出さないまでも、相手の仕事の仕方を快く思っていない様です。Dさんはパソコンを駆使して効率よく仕事をこなしていくのですが、他のスタッフのパソコンスキルはイマイチで、処理速度もどちらと言えば遅め。傍目で見ていると、テキパキしすぎているEさんは、遊んでいる様にみえなくもないのです。レセプト業務の時も、医療事務の知識はそれ程ではないものの、電子カルテを使った処理能力は群を抜いています。当初はお互いのことを認め合いながら仕事をしていましたが、自分の仕事のカタチを変えられないスタッフは、相手に対していら立ちを覚え始めます。
(まとめ)
人間関係のストレスは表面化しにくく、表面化したときには"時すでに遅し"のことが多い様に思われます。異なった環境で、価値観も違うスタッフを採用しているクリニックでは、事例の様なことが水面下で起こっていると想定しておかなければなりません。各人の仕事ぶりを見るだけでなく、個別面談で仕事に対する考え方を知るのも一つの方法です。要するに院長がスタッフのところまで下りていってコミュニケーションを取らなければなりません。看護師は医師よりの存在ですが、事務系スタッフは異業種だと考えて下さい。構い過ぎる位で丁度よいと思って下さい。コミュニケーションは"声"をかけることから始まります。植物も"肥(こえ)"がなければ育ちません。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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