Vol.274 医療機器は現物で確認!

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2018.12.12

Vol.274 医療機器は現物で確認!

クリニックの事業承継(M&A)時に、物品等についてのトラブルがよくあります。契約時には存在していたモノが、引き渡し後に無くなっているのです。本稿では、そんなトラブルを回避するために、売主(資産を譲渡する側)と買主(譲り受ける側)が立ち合いで、現物確認を行っている場面をご紹介してみたいと思います。会話の中にもヒントがあるかと思いますので、参考にしてみて下さい。

 

A整形外科クリニックは、同じ医局の後輩であるB先生に継承されることになりました。当事者同士で契約する"相対取引き"は危険であると考えていた両先生は、医療コンサルタントを窓口にし、司法書士に契約書等の書類作成を依頼することにしました。

 

医療コンサルタント

「譲渡資産について説明します。減価償却資産については、決算書の附属明細の一覧にあるとおりです。10万円未満の物品等はリストには上がっていませんが、契約上は"現状有姿(あるがままの状態)"を優先することとします。」

 

以上は、一般的な契約内容です。大きな医療機器だけを確認して終わることもありますが、物品点数の多い整形外科の様な場合は、売主買主が一緒に、第三者立会いのもと、財産目録を作成することをお薦め致します。

 

医療コンサルタント

「では、今から大きな医療機器を中心に、リハビリ器機他の物品の現物確認をしていきたいと思います。減価償却一覧表を基本に、一点ずつ確認作業を行っていきます。」

 

こうして医療コンサルタントは、AB両先生を連れ立って、一覧表にある医療機器等の現物確認を行い、確認の終わったモノについては"シールでマーキング"した上で、写真にも残していきます。この様にして院内にある物品の確認作業を進めていきますが、10万円未満の物品(一括経費処理されている)や、経理ミス等の理由により資産計上が漏れている物品は減価償却一覧には上がっていません。従って、こちらも譲渡資産の目録に追加していくことを忘れない様にしなければなりません。また、壁に掛けてある"絵画等の美術品"や"専門書"についても最終的な帰属をどうするかを、この時点で決める様にしましょう。

 

(まとめ)

日本では性善説に基づいて契約(取引)がされていることが多い様に思います。事業承継(M&A)で、引き渡し後にトラブルになるケースが多いのは、『契約条項に明文化されていない内容については、甲乙双方、誠意をもって協議することとする。』という何とも日本的な一文を信じ切っていることにも原因があります。契約書に書いていないことは、"合意した内容ではない"という認識のもと、お話しを進めていかなければならないのです。そう考えると、専門家を入れた上でリーガルチェックもしっかり行った方がよいという結論に至ります。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

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