Vol.294 医療法人格と事業拡大

医療機関で事業拡大を行う場合、医療法人であることが条件付けされます。分院を出す場合、事業を多角化する場合のいずれも、医療法人であればスムーズに進めることができます。しかしながら、それが絶対条件という訳でもありません。分院展開を検討している医療機関や一般企業から、医療法人格の譲渡案件の問合せを受けることが多くありますが、他にも選択肢があることを本稿ではご紹介したいと思います。

 

介護事業を行っているA社は、利用者へのサービスの充実を図るため、クリニック経営を検討しています。コンサルタント会社に医療法人の売情報の提供を依頼していますが、持ち込まれてくるのは個人診療所の情報ばかりです。

 

A社長

「収入の安定している個人診療所は魅力的だけど、個人のドクターに責任がかかるのは問題だし、医療法人でないと資金の管理が煩雑になるよね。」

 

コンサルタント

「個人診療所を引き継ぐ前に、医療法人化してしまっては如何でしょうか？」

 

前院長のリタイアまで時間がある場合は、個人診療所を医療法人化し、その後に理事長変更することで営業譲渡する方法があります。手続きには1年程度の期間を要しますので、時間的余裕があれば選択できる手法ではあります。

手続き的には、所轄の保健所及び厚生局への理事長変更届、及び代表者の変更登記を行えば手続き完了ということになります。

医療法人の売情報に比べると、個人診療所の売情報は比較的件数は多くあります。多少テクニカルな手続きになりますが、参考にしてみて下さい。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント　　柳　　尚信

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