Vol.278　継承する際は気配りも必要 |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2018.12.18

Vol.278　継承する際は気配りも必要

クリニックを継承（M&A）するということは、有形無形の財産はもちろんのこと、歴史そのものも継承するということです。財産的なモノについては客観的な評価を行った上で金銭価値に置き換えて継承（M&A）しますので、引継ぎそのものは明瞭取引きであるといえます。では、これから問題にしようとしている"クリニックの歴史"とは何でしょうか？継承（M&A）する先生は、クリニックの歴史に敬意を払い、契約に臨む姿勢が必要であるということをご紹介していきたいと思います。

A先生は、クリニックのM&A仲介業者の力を借りて、Bクリニックの継承（M&A）の打合せを行っています。対象のクリニックですが、手入れは行き届いていて瀟洒ではあるのですが、電子カルテを中心とした電子機器の利用を考えると改修工事の必要性がある様です。早速、医療機器メーカーと内装工事業者を呼んで打合せを始めています。

A先生

「電子カルテと心電計、エックス線装置にエコーにパックス、これらを連携させないといけないので、LAN工事が必要ですね。」

医療機器メーカー

「LAN工事に関しては、配線に必要な情報は工事業者の方にお伝えしていますので、問題ないと思います。」

内装業者

「内装工事としては、トイレの改修と受付カウンターの工事と、待合室のバリアフリー化などがあります。これからプランを煮詰めていって、B院長に提案する形にしたいと思います。」

この様にA先生を始め、それぞれの業者は息もピッタリの連携ができている様です。特に内装業者に関して言うと、これまでに多くの継承案件を手掛けてきており、工事の段取りだけでなく、先代の先生の気持ちにも配慮した改修工事を心掛けています。30年近く診療してきたクリニックを、人に譲るとはいえ、大規模な改修工事をされると自分のこれまでの歴史を否定された様な気持ちになります。そうならない様に、プランができた時には、必ず先代院長に、"提案"という形で提出し、意見を賜ることにしています。法律的には必要のない行為かもしれませんが、継承を上手く完了させるための手段として必要な工程だと考えています。

（まとめ）

営業権を譲渡するというのは有形無形の財産の譲渡を意味しますが、同時にクリニックの歴史そのものも譲渡するということを意味します。歴史を作ってきた先輩先生には最大限の敬意を払い、継承に臨まれることを願っております。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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