Vol.324 承継時（M&A）に会計事務所を変えるということ |レセプト請求代行メディカルタクト

2019.03.04

クリニック奮闘記

Vol.324 承継時（M&A）に会計事務所を変えるということ

クリニックを事業譲渡（M&A）する場合、単純にモノを売買するのと違い、様々な権利関係の整理を行い、複雑な税務処理を行っていく必要があります。引き渡し後にトラブルにならない様にするために、慎重に進めていかなければならないのですが、その際に税理士の協力は不可欠です。前向きな取引ができる様に税理士とは上手く付き合っていきたいところです。本稿では事業譲渡（M&A）における税理士との関係についてお話ししていきたいと思います。

Aクリニックは事業譲渡（M&A）を半年後に控えており、基本合意契約書の履行のために、関係者との調整を行っています。まず、引渡までに資産と負債の整理を行いますが、事業用資産として引き継ぐものと、引き継がないものに分類し、後者については現金化もしくは廃棄処分することになります。

A院長

「資産負債を整理し、最終的な譲渡代金を算出して頂けますか？」

税理士

「かしこまりました。減価償却資産の明細を基に計算してみましょう。」

A院長

「医療法人なので、一番手取り額が多くなるようにシミュレーションして欲しいんですが、お願いできますか？」

税理士

「退職金での受け取りがベターだと思いますが、出資持分の払い戻しと合わせてシミュレーションしてみましょう。」

Aクリニックの顧問税理士は協力的であったため、院長の意向をくみ取って最後の仕事を丁寧に進めてくれています。しかしながら協力的な税理士ばかりではありません。第三者に事業譲渡されるということは顧問契約が解消されることになるため、非協力的であることがあります。引渡が完了するまでは顧問先の利益を最大限に考えて仕事をして欲しいのですが、確定申告と決算以外は業務外であるとして関与してもらえないことがあります。その場合は、譲り受け先のドクターが顧問契約を予定している税理士に協力してもらわざるをえません。

（まとめ）

状況によっては別の税理士にお願いすることは止む無しであると考えなければなりません。難しいないようではありませんが、税務スキームはバリエーションに富んでいるため、積極的な提案がほしいところです。契約書の作成は司法書士、資金調達は銀行、税務関係は税理士・・・この様に専門家がタッグを組んで進めていくことが事業承継（M&A）の成功のカギであると考えています。

メディカルタクト代表コンサルタント　　柳　　尚信

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