Vol.343　名義変更できないリゾート会員権 |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2019.04.01

Vol.343　名義変更できないリゾート会員権

クリニックの事業譲渡を行う場合、資産の整理を一つ一つ行っていきます。事業用資産の価値は決算書に計上されている帳簿価額が基本となりますが、全てを引き継ぐとは限りません。事業用で計上されてはいますが、院長個人が専ら使用しているモノについては個人で買い取って頂く必要が出てきます。

事業譲渡を行う場合に、クリニックの財産債務の精査（デﾕーデリジェンス）を行います。資産の現在価値を評価することと、負債の整理が目的です。また帳簿外に債務保証や隠れた負債の存在も確認しなければなりません。本稿では資産の部に限ってお話しを進めていきたいと思いますが、事業用資産に計上されているもののうち、院長（その他の理事）が専ら使用している資産については引き継ぐことができない資産があります。具体的に申し上げますと、車両やゴルフ会員権、リゾート会員権が挙げられます。また理事長（理事）が被保険者となっている生命保険も同様です。手続きとしては個人が買い取って、その代金を医療法人に支払うということになります。（医療法人に支払われた代金は最終的には退職金の原資となります。）ところが簡単に売却（名義変更）できないのが会員権なのです。思い当たる先生は、購入時の契約書の内容確認をしてみましょう。以下の様な条項が入っていないでしょうか？

・一定期間、名義変更ができない

・名義変更の場合は、違約金等のペナルティが発生する

まず、今後の利用に関して考えてみましょう。引き続き、継続して個人で使用したいということであれば、ペナルティを支払っても個人で買い取りましょう。医療法人の名義のままで管理料等の費用を個人で負担するという方法もあります。また一定の拘束期間が設けられている場合について、期間満了後に個人に売却することも可能です。しかしながら名義変更がなされない期間は、あくまでも法人所有の資産として位置付けられるため、トラブルの種にもなりかねません。この場合は、ペナルティを支払っても個人所有にすることをお薦め致します。

代表コンサルタント　　柳　　尚信

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