Vol.339 精神論でしょ！？ |クリニック奮闘記|メディカルタクト

2019.03.26

Vol.339 精神論でしょ！？

私が新人の頃は、上司の言うことは疑うことなく聞くものだという教育を受けてきました。上司から仕事の依頼があれば、どんなに忙しくても断ることは許されません。また難しい内容であっても、できない理由を言うことも許されませんでした。この時代では当たり前の光景であったと思いますが、現在ではパワハラに当る言動も多々あったと思います。本稿では、そんな"昭和な"職場の光景を覗いてみたいと思います。

Aクリニックでは、通常の外来に加えて訪問診療を行っています。さらにデイケアと訪問看護ステーションも行っています。各部門の事務処理は、５名の専門スタッフで全てを行っています。5名といってもパートスタッフが2名なので、十分なマンパワーとはいえません。レセプト業務を始めとして、月末月初の請求事務は、さながら戦場と化しています。

事務主任

「今月は外来レセプトの件数も多いし、在宅患者も増えているから時間がかかりそうね。」

スタッフ

「先月も大変だったけど、今月も残業が続きそうですね。」

事務主任

「処理は前倒しで行いましょう。今日の目標はここまで・・・・。頑張りましょう。」

今月も、残業に次ぐ残業、人海戦術で何とか乗り切りましたが、スタッフの疲労度はマックスです。

スタッフ

「"頑張れ！"て言われても気力も続きません！」

事務主任は、仕事の効率が悪いのは十分理解していました。デジタルデバイスを導入すれば業務効率が上がることは分かっていますし、スタッフを採用すれば一人当たりの業務量が減ることも理解しています。しかし、敢えてそれをしないのは理由がある様です。スタッフの能力開発のためでした。先輩スタッフによる懇切丁寧なスタッフ教育が理想的だと思いますが、クリニックでは、ゆっくりと教育していく時間が取れません。考えた上で選択した方法は、荒療治ではありますが、"ドロドロになって働く"ことでした。スタッフからのクレームは毎月の様に出ましたが、各人のスキルは格段に上がっています。この間、事務主任は何もしていなかったのではなく、スタッフの募集と採用を行い、経験者の採用に成功しています。新人スタッフ（経験者）の現場投入に合わせて、パソコン等のデバイスのバージョンアップを図りました。レベルアップンのための電子カルテの操作研修も行います。そして事務スタッフ全員で、業務フローの見直しを行い、皆で"効率化"のための仕組みを考えていきました。

（まとめ）

一昔前の厳しいスタッフ教育の一場面であるかもしれません。事務主任が考えたのは、効率化の前にスタッフ個人のレベルを上げることを考えました。低い能力で効率化を行っても、大きな効果が得られないと考えたからです。荒療治ではありましたが、スタッフのレベルアップと業務効率改善に成功したAクリニックでは、結果として残業時間も大幅に削減されました。

代表コンサルタント　　柳　　尚信

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