Vol.383 人事評価は長期で考える

院長の経営者としての仕事の中で"人事労務問題"は、いつも煩わしさの上位にくるテーマです。企業の人事担当者でも頭を抱えるテーマですから、素人の先生方が解決できなくて当然です。今回は"人事評価"についてもお話しです。

 

人には"承認欲求"というものがあります。『頑張ってるね』『有難う』という言葉は嬉しいもので、自分が認められていることに喜びを感じるものです。子供に対しては言葉だけでいいかもしれませんが、大人の世界ではそうはいきません。賃金等に対して評価をしなければならないからです。人事評価を賃金に反映させようとすると、客観的な指標が必要になります。賃金規定の作成をはじめ、評価基準を明確にしなければなりません。つまり"何をすれば評価され""賃金があがるのか"を皆さんに知ってもらうのです。お金が全てではありまませんが、頑張ったことを"言葉"でなく"お金"で評価するのです。評価ルールの次は、"ルールの運用"です。スタッフの行動が、誰が見ても評価に値するものであったとき、ルール通りに査定することができます。ところが評価基準表に該当するかどうかが判断できないときもあります。人事評価を行う場合は、評価する側もトレーニングを受けていなければ客観的な評価が難しいのですが、クリニックでは院長の裁量権で柔軟に対応してもいいのです。

次にミスなどの悪い結果の評価をどうするのか考えてみましょう。成果（結果）を出すこととミスをすることの頻度を考えると、後者の方が圧倒的に多いことは言うまでもありません。上手くいかないことの方が多いのです。しかし、そのことについて、いちいちマイナス評価をしていてはスタッフのモチベーションは下がってしまいます。人事評価の基本は『加点主義』にあるのは、こうした理由によるものです。ミスをしても目をつぶり、上手くいったときには評価をするというのでは、バランスが悪い様に思われるかもしれません。評価の程度でバランスを取るようにすればいいのです。毎月の給料に反映させてしまうと、人件費の上昇カーブが上がってしまうので、賞与に対しての評価がいいでしょう。一回キリの支給で済むことと、評価までの期間が最長でも半年なので実感が伴います。（記憶に新しいため、頑張ったことが評価されたとが実感しやすい）金額にして数千円程度でよいのです。

 

（まとめ）

評価基準（コンピテンシーモデル※）を作成し、スタッフが頑張るためのモチベーションに働きかけましょう。ミスをしても減点せずに、加点主義で評価をしていきましょう。賞与へ反映させることで、スタッフのモチベーションへダイレクトに働きかけることができますが、過剰な評価には気を付けてください。人生山あり谷ありです。仕事にも波があります。良いときも悪いときもあります。クリニックでは長期的な視点で温かく、スタッフを見守ることがいいのではないかと思います。

 

※コンピテンシーモデル

何をすれば評価されるのかを一覧にしたもの

 

メディカルタクト　代表コンサルタント　　柳　　尚信

 

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